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闘いのワンダーランド #007
「I編集長の喫茶店トーク」

1974.05.08 東京体育館
ワールドプロレスリング放送オープニングタイトル
第1回ワールドリーグ戦三つ巴優勝決勝戦
坂口征二 vs キラー・カール・クラップ
アントニオ猪木 vs 坂口征二
アントニオ猪木 vs キラー・カール・クラップ

「力道山の遺産」

I編集長・井上義啓

 これは力道山がね、ちょっとプロレス人気が落ちてきた時に、昭和34年ですか、岩田さんの発案その他もあったんですけども、やって。
 (岩田さんって方は?)日本プロレスの営業のボスみたいな人ですね。総括責任者ですよね。おたく(FIGHTING TV SAMURAI)の力道山特集週間ですか、今週流れている。それでもちょっとお会いしましたしね。それで懐かしい顔が見られると思いますよ、ファンにとってもね。ファンも知っておられるでしょう、岩田さん、有名な人だから。その方なんかの発案でですね、やったという話ですよ。

 私が言いたいのは小さなことだけどね、ワールドリーグ戦、ワールドリーグ戦と言ってるけども、ホントは「大」の字が入っておったんですよ。ワールド「大」リーグ戦というようにね。だから本当は「大リーグ戦」と言ってほしいと、当時一所懸命取材した古手(古株)の私達にすればね、やっぱり「大リーグ戦」と言ってもらわんことにはね、いかんと。(しかし)今回は猪木の方は(「大」の字が)入ってませんよ、これ。

 だからその「ワールド大リーグ戦」の盛況を踏まえて、新日本プロレスもやろうと。これはやっぱり馬場さんに対する一つの「挑戦」的なところもあったでしょうね。やっぱり力道山の宝というかね遺産というのは、馬場さんだけじゃないというね、こっちだって弟子だというね。しかしまあホントを言うと、力道山13回忌の追悼試合で、昭和50年ですか?12月17日ね、その時に例の猪木vsロビンソン戦というのがあったんですよ。それで参加できなかったんですね、武道館の方には。それで恵子夫人あたりが怒ってですね、猪木は義理をわきまえて無いということでね、それでもう弟子とは認めないと言ったんですよね。だから(後には)そういった事もあったんで(すが)、なおさら意地になるところが(すでに)この頃からあったんじゃないですか? 当時からもう、すでにそういった雰囲気がありましたからね。力道山の直系は馬場だというようなね。だからそれが昂じて今言った昭和50年のあのゴタゴタということになっちゃったというね。だからそこらへんがあって、うちだって(新日だって)やるんだという事でやったんですよね。

 これはもうね外人レスラーの顔ぶれを見ますとね、そんなに凄い連中は来てないですよ。カール・クラップというのはね、なんていうかな、「青銅の爪」と言って、今でも知らん人が意外に多い、これ。やっぱりフリッツ・フォン・エリックという凄いのが居りましたからね。だからどうしてもね、エリックと比べちゃうんですよ。だからそれが外人のあたま(トップ)じゃあね、ということで、ハッキリ言って私はそんなに盛り上がるリーグ戦にはならないんじゃないかと思ったんだけれども、やっぱりね、新日本の勢いというのがありましたからね、当時。猪木も絶好調だったし、そういう事もあって、キレイにクリアしてしまったですよね、これ。小林vs坂口なんていう一騎打ちもあったりしましたからね。だからそこらへんで、我々が考えておった以上に盛況裏(成功裏)のうちに終わったというのが、この「第一回ワールドリーグ戦」の総まとめですよ。

 だからまあハッキリ言って、力道山の遺産を受け継いでうまいこと持っていったというね。だからワールドリーグ戦というとね、やはり日プロ時代にも優勝してますしね、猪木がマルコフを破って。そういったイメージアがあるんですよ、ファンに。やっぱりワールドリーグ戦と猪木は無縁じゃないというね、つながりがそこに出てきてますからね。それをそのまま引き継いで、ここに流れ込んだという感じがありますな。

 今申し上げたようにですね、クラップというと、私自身は買ってなかったですからね。現に日本に来て試合を見たけども、正直言ってそんなに迫力のあるレスラーだと思わなかったしね、そういったことで、やっぱり猪木のうまさが全般的に光りましたよ。そういったシリーズ、リーグ戦だったですね、これね。

 だからね、リングに登場して絵になり銭になったという数少ないレスラーがフリッツ・フォン・エリックだったし、デストロイヤーもね、初めはそうだったんですよ。あの男が出てきてね、腕組みしてね、白マスクでリング中央に「バーン」と立った時にね、そおーりゃぁ凄かったですよ、迫力は。だからああいった迫力をね、そのあとのお笑い番組で削ってしまったというのがね、僕らにしてみたら非常に残念なんですよ。だからレスラーというのはやっぱり最後までね強面でいてほしいというね。その点フリッツ・フォン・エリックっていうのはもう、最後まで「鉄の爪」ということで押し通しましたからね。そういった意味では凄いですよ、あのエリックは。だからその印象があるんでね、どうしたって(クラップは)二番煎じだなと、こういう事を言ったら猪木が怒るかもしれないけどね。そういった目でね、私だけじゃないもんね、当時みんなそういうふうな目で見てたからね。そりゃ、しょうが無いですよ。事実、わりかし精一杯の試合はやってみせましたけどね、これは猪木のうまさで引き出された話ですんでね。クラップだけに焦点をあてると、やっぱりなんか「ちょっとしんどいなぁ」というね、試合ではありましたでしょうね。

 次の第二回ワールドリーグ戦でもやっぱりカール・クラップが出てきたりね、そんなことがあるんで、やっぱりいっぺんにトーンダウンしましたね。だからやめちゃったんですよ、あれ。そうでなかったら、もう10回、12回と続いてるはずなんですよね。

 アイディアの勝利でしょうね、これ。というよりも、やはり力道山の名前は大きいなと言うことですよ。遺産というかね、形見というか、そういうトコを感じましたよ。やっぱり力道山のね、こんなことを言ったら悪いけど、力道山の遺産で商売したというね。そういう言い方が適当かどうかわからないけど、そういった感じはしましたよ。営業の連中は皆、そう言ってましたからね。やっぱり力道山の存在ていうのは非常に大きいと。力道山がやってなかったら、こんなもん(ワールドリーグ戦は)「屁」みたいなもんですよ、言うちゃ悪いけど。「なーんだぁ」ってね、顔ぶれ見たって、まあここで永源なんかは第二回ですか、出てきたのが。だからそこらへんもあって、日本組もそんなに大した連中は出てこなかったですからね。まあ坂口は出ておりましたけどね。

 



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 今回のトークも長いので、二分割にして掲載しました。

 

 

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