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闘いのワンダーランド #011
「I編集長の喫茶店トーク」

1974年NWF世界ヘビー級選手権試合ダイジェスト
1974.12.15 ブラジル サンパウロ・コリンチャン・スタジアム
NWF世界ヘビー級選手権試合
アントニオ猪木 vs アンドレ・ザ・ジャイアント

「モンスター・ロシモフの迫力」

I編集長・井上義啓

(試合VTR前のトーク)

 アンドレというと私に言わせると、国際プロレス時代のロシモフ、あの方が印象に強いんですよ。ホント言いますとね。最近のロシモフを知らない人たちはね、「アンドレ、アンドレ」言いますけどね。私にしてみたら、こんなこと言っちゃあれだけども、ロシモフ時代のほうが凄かったですよ。やっぱり、「バーン」とパンチが入ってくるとのけぞるわけですよ、アンドレ自体がね、アンドレ自体が横向いちゃんですよ、こういうふうに。凄かったですよ。国際プロレスの連中は泣いてましたよ、あんなパンチをやられたらたまったもんじゃないって、ホントにね。

 だから、僕自身に言わせると、その方が凄かったと思うけど、この試合に関して言いますとね、やはり猪木の上手さでしょうね。たとえばボディスラムで投げつけたりしますでしょアンドレをね。これはね、やっぱり猪木だから出来た話でね、他のどんな力の強いレスラーでもあのアンドレを叩きつけることは出来ないですよ。だから猪木の瞬発力といいますかね、ファイターとしての猪木の瞬時の力というのはすごいものあがるんですよね。だからそういったものをね、猪木vsアンドレ戦、この試合なんかでは非常にみせてくれますよ。だからご覧になった方はね、わかったと思うけども、そういったところを中心に見てもらわんとダメなのよね。

 結局リングアウトで引き分けてしまったという非常に平凡な結果が出てますけどね。やはり猪木ならではのアレと、やっぱりこのあたりのアンドレというのはまだまだ力がありましたからね。そういった意味で、やっぱりのしかかってくる怖さというのはありましたね。

 ロシモフ時代のアンドレっていうのは非常に俊敏だったからですよ。非常に細くてね。それが肉が付いて来てこうなりましたからね。だから昔取った杵柄というか、貯金というか、それがアンドレ時代にも出されたということなんでしょうね。もう始めからあんなに太っておったら、とんでもない、ダメですよ。おたくら知ってるかどうか知らないけど、大鵬という力士、横綱がおってね。これがね、若い頃はものすごく細かったんだよね。それがだんだんだんだん肉が付いてきたからね。肉が付いて来てもスピードがあったんですよ。みんなそうなんだよね。始めから「バーン」と太っておったらダメなんですよ。若い頃は俊敏で、だんだん肉が付いて大きくなってきた時も、若い頃の力というのがそのまま持続しているというね。それをね、ハッキリ見せてくれたのがこの試合じゃないですか?

(試合VTR後のトーク)

 ロシモフ時代のアンドレっていうのは、まだ駆け出しだったから、もう「ピーピー、ピーピー」マネージャーにブン殴られたりね、いろんなことがあって。それで、「モンスター」なんて言われたりしてね。そういった時代をアンドレにしてみたら、ファンも知ってるし、目の前の記者連中も知ってるし、ということが頭にあるんですよ。だから出世してから出てきたんであればそういうことは無いんだけれども、もう「ピーピー、ピーピー」言っておった頃から日本に来ていますからね。みんな知ってると。それが嫌なんですね、ひとつは。それともう一つはやっぱり、日本人の悪い癖でね、たとえば水戸市だったかな、アンドレが歩いていた。そしたらそこへ50前後の背広着たおっさん連中が4、5人やってきて、「お、見ろ、アンドレだ。でっかいな」と。それでこう、前に回るんですよ。(見上げて)「なんだ、バケモノだよ」と。アンドレはね、「バケモノ」という言葉は覚えてるんですよ。知ってるんですよ、これ。「バケモノ」だとかね、なんとかかんとかは。だから「バケモノ」と言われたら顔色がパーッと変わるんですよね。それで目の前で言ってるわけでしょ。「やー、でっかいな。こんな大男でバケモノで」なんてね。そりゃぁもう、「ムカッ」ときますよ。と言ってぶん殴るわけにもいかんしね。だからそういうことがあるからね、日本人嫌いになっちゃうんですよ。だから日本人だと言ったら絶対に「No」と、こうですよ。もうインタビューなんて絶対にさせてくれないね、これ。どんなに頼んでも。高橋レフリーに頼んだんだけども「ダメ」。写真も撮らせないですよ。試合はしょうが無い、ギャラもらってるんだから。だから試合は撮ってもいいけどね。もう、ホテルとか、ロビーなんかでビール飲んだりね、ウィスキー飲んだりするところは絶対に「アカン」と。そんな隠し撮りもダメだということなんですよね。だからそういうことがあったんですよ。

 ところがアンドレがアメリカで街を歩いてるでしょ。・・・・(以下、10分省略)

闘いのワンダーランド #001-#050



Favorite Cafe 喫茶店トーク

コーヒーイメージ2

 前半のトークは短めですが、書き出してみると結構な文字数です。後半のトークは省略していますが、「モンスター・ロシモフ」をさらに深く語っています。フィルム(I編集長に敬意を表して)の中の猪木と坂口のコメントも懐かしいですね。中身はそのうちに。

 後半トークも追加しました(2019.11.11)

 

 

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