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闘いのワンダーランド #027
「I編集長の喫茶店トーク」

1976.08.14 ブラジル イヴラビエスポーツアリーナ
アントニオ猪木 vs リッキーハンター
1976.09.10 品川スポーツランド
アントニオ猪木 vs スーパースター・ビリー・グラハム

「『猪木vsアリ』凄まじい死闘、の話の第一章」

I編集長・井上義啓

 今晩はこの前もちょっとお話しましたけども、猪木を中心として51年に行われました「異種格闘技戦」。これはちょっと、局の都合、その他がございましてオンエア出来ませんので、残念ながら「猪木vsアリ戦」というのも吹っ飛んでしまっています。で、51年の猪木を中心とした名勝負となりますと、やっぱり、猪木vsアリ戦というのは避けて通れませんので、今晩はこの「猪木vsアリ戦」についてお話したいとこう思っております。

 で、みなさんご存知のように、なぜ猪木がアリと闘うことになったかということについては、もうお話する必要が無いと思いますので、省略いたします。いずれにいたしましても、アリがビッグマウスでですね、大口を叩いて「東洋人だったら誰でもかかってこい、100万ドルの賞金だ」なんて事を言って、猪木がそれに応じたと。ですから、猪木が挑戦状を出したんじゃなくて、新間さんに言わせると「応戦状」なんだよと、あれは。向こうが挑戦して来いって言ったんだから、コチラは応戦しただけなんだから、「挑戦状」と書くのは間違いだと。まあどっちでも良いようなことだったですけどね。応戦状を杉田渉外部長というのが、アリのところに持っていきまして、そしてアリが「何?イノキ?」と言って目をむいたんですね。だからそういったことがあったんですけど。

 まあ、一つお話しておきたいのは、全日本プロレスでもすでにそういった話があったんですよ。これはもう、全然出てきませんけどね。馬場さんが「チョロッ」と漏らしていたのは、そういった話が、アリと闘うかどうかということが持ち込まれたらしいですね、全日本プロレスの方に、どうなんだと。闘う気はないか、アリと。それでまあ、本気には考えてなかったんだろうけれども、アリとやらせるんだったら、桜田だなと、皆さんご存知のナガサキですね。あの人はものすごくセメントに強いですからね。セメントの「鬼」ですから、桜田というのは。だから、それしか無いなと。それで考えたことがあったらしいですよ。

 ただ、そういった事があった時にイノキが「バーン」とぶち上げてしまったんですよね。「闘え」ということで。で、皆さんご存知のように、猪木がレスラーですよ、で、アリは飛ぶ鳥も落とす(ボクシング)ヘビー級のチャンピオンだと。だから闘えるはずがないんですよ、当時のアレ(常識)から言って。だから、そんなね、猪木が挑戦状というか、それに応じて応戦状を出したところで、やれるはずがないじゃないかと、なんて馬鹿なことを言うんだということでですね、一般紙なんかから相当叩かれたんですよね。こっちはプロレス専門誌ですからね、猪木が挑戦状に応じて、杉田渉外部長が持っていったというようなことは当然書きますよね。だから、そういった段階であったんですけども、当時テレ朝のことをNETと言ったんですね、これがクアラルンプールでのアリの3度めの防衛戦をやるということになって、その日本での独占放映権というのをテレ朝が握ったんですよ。テレ朝がね。

 そこで当時の運動部長だった、永里さん、永里公平さんですね。彼がアメリカに行ってテレビ局といろいろ話をしたと、その次に副社長が出てきて、ま、色々話になったんですけど、その時に猪木vsアリ戦の話が出たんですよね。で、副社長曰く、「テレビ局の人間が何を言ってるんだ、そんな有り得るわけがないじゃないか」と。そりゃそうですよね。プロボクシングというのはボクシングコミッショナーというのがあって、それの規定がある。だから、現役のボクサーが空手マンとかレスラーと闘えるはずがない、そんなことをしたらライセンスを剥奪されてしまって、一生飯が食えなくなると、だから、そんな馬鹿なことは有り得ないと。だから永里さんが、「それだったら一旦ボクサーをやめて、引退してですね、猪木と闘って、その後でまたカムバックとこれではどうか」と、でもそれも有り得ないと、そういった手を使うやつがおるから、現役であろうが、引退したボクサーであろうが、とにかくそういったことをやったら、一生ダメになる。ハッキリ言えばメシの食い上げだということなんだから、絶対できない。エキシビションでもできないか、「できない」っていうんですね。だからそういった事が、当然、朝毎読、共同通信とかそういったボクシング担当の記者が書きまくりましたからね。みんなの目の触れるところとなったんですよ。でそれを見てから、「スーッ」と猪木vsアリ戦というのが消えていってしまったんですよ。そりゃそうでしょうね、これ。当のテレビ局のですね、アリ関係の重鎮がですね「絶対ありえない」、そう言ったんだから。

 だから、猪木vsアリ戦というのはそれまで「ワーワー、ワーワー」面白半分に書いていて、中には「出来もしないのに売名行為だ」と、「猪木というのは汚い男だ」といろいろ悪口を言われましたよ。いろいろ書かれていたことは確かですよね。それが「スーッ」と消えていった。消えてしまったんですよ。消えていってしまったんですけども、そこで一人だけどういう訳か知らんけど「猪木vsアリ戦の実現というのは可能性がある」と書き続けた男がおったんですよね。これが、その人の名前っていうのが「井上義啓」と言うんですよ。「井上義啓」といったら、オウム真理教の「井上嘉浩」じゃないですよ、これ。私なんですよね、これ。この「井上義啓」というバカがですね、よそは猪木vsアリ戦は有り得ないという結論で統一されてしまっているのに、ひとりだけバカみたいに「実現の可能性はある」と書き飛ばしたんですよ。だから当時、今(1997年)東スポでね編集局長やっておられる桜井さんとか、そういった連中と一緒に取材してましたからね。で会場なんかで出会います、それは当然。そしたらもう挨拶代わりに「やあやあ」ということですけども「ファイトさんは猪木vsアリ戦好きですね、ふふーっ」って笑ってましたよ、みんな。あの桜井の旦那もね。ところが誰がなんと言おうともね、私は実現すると踏んだんですよ。その理由は直感じゃないんですよね、これ。プロレスとは推理するもんだということでありますけども、直感でですね、そんな無責任な記事は書けないですよ。

 なぜ「実現する」と私が踏んだかと言うと、猪木がある日突然ね、何の前触れもなく「ポーン」とニューヨークに行ってしまったんですよ。それで色んな人に聞いてみますと、「急に行ったんだ」といいますね、予定はなかったと。だからビザをとるとか、そういった事で大変だったと話をしてきたんですよ。だから「おかしい」と。なんでね、そんなことまでしてニューヨークに行ったんだろうと。でニューヨークに特派員というのを(日本から行くと)金がかかるので、出しておったし、青い目の記者にもお願いしとったんですよね。ですから、猪木がニューヨークに行くと、これ、なんで行くのかね、張っといてくれと頼んだんですよ。で、その青い目の記者がへばりついて色々と情報を探っておった。そして電話がかかってきた。

 ・・・・(以下約20分省略)



闘いのワンダーランド #001-#050



Favorite Cafe 喫茶店トーク

コーヒーイメージ2

 長いですが、この日の全トークを掲載してみました。I編集長が「ものすごく熱く語っている」と言うことだけを伝えたくて全トークを掲載しましたので、もしも、全文を読んだという殊勝な方がいらっしゃいましたら、お疲れ様でした。これで、「十分の一しか話が出来ていない」ということなので、続きが楽しみです。
 私は、やっぱり「猪木vsアリ」戦が名勝負第一位だと思っていますので、ハッキリ言って、これ。

 リッキー・ハンターさんについては、全くお話がありませんでした。

 

 

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