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闘いのワンダーランド #096
「I編集長の喫茶店トーク」

1980.10.24沖縄県立奥武山公園体育館
UWA認定世界ヘビー級選手権試合 アントニオ猪木 vs タイガー・ジェット・シン
谷津嘉章&坂口征二 vs カルロス・エストラーダ&サモアンズ1号

「谷津嘉章のデビュー、アマレスとプロレス」

I編集長・井上義啓

 今日は、谷津がですね、初めてこの番組で出てきましたですね。谷津のこの颯爽とした、とまでは言えないですかね、ま、颯爽とした若武者ぶりと申し上げておきましょうか? で、その谷津についてお話をしなくちゃいけないでしょうね。

 基本的に谷津嘉章という選手のアウトラインをお話しないことにはですね、やっぱりお分かりにならないと思う。谷津っていうのはアマレスのですね、これはもう、ヘビー級の凄まじいチャンピオンなんですよね。ヘビー級で全国制覇連続5回ですからね。だから「こんなに強い、ヘビー級のアマレスの選手はいないと思う」とそこまで言われた人なんですよ、谷津っていうのはね。ですから、この鳴り物入りでね、ホントにね、プロレス転向ということが報じられたし、我々も期待しましたけどね。谷津がプロレスに転向しましたのが、この年、55年の10月23日なんですよ。で、まあ、当時の写真がみんな一緒なんですよね。谷津が真ん中におって、猪木と坂口が左右におってですね、「ニコッ」と笑ってるという、この写真しか私は見たことがないんですけども、そういったこともあったけれども、非常に鳴り物入りでね、騒がれた選手です、谷津っていうのは。

 で、10月23日に入門が発表されました。そして、まあ、新日道場で鍛えられたんですけども、12月の12日に「ポーン」と渡米してしまうんですね、これ。12.12ですよ。これ、もう数字として非常に覚えやすい。12月の12日に「ポーン」とアメリカに言ってしまうんですね、これ。だからこの期間が短いですね、10月の23日に入門を発表して、12月の12日にアメリカに行ってしまうとね、なんかこれ、非常に、なんと言いますかね、期待されとったということの現れですよ。本来ならもう少しね、半年とか、なんとかかんとかやりますよね、これ。だからそういったことをしないでですね、アメリカへいきなり出したんですね。

 アメリカにいきなり出したのはいいんですけども、12月の29日にですね、それこそ、またまた、いきなりなんですよね、これ。MSG、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンですね、この檜舞台でなんとデビュー戦を行うんですよね、12月29日に。ですから、日がないでしょ、12日に渡米して29日ですからね。ですから、いかに谷津が期待されとったかと言うことなんですよね。ですけど、今日見ていただいた試合、坂口と組んでエストラーダとか、サモアン組ですか、やって勝ちましたけど、残念ながら今日の試合がデビュー戦じゃないんですよ。今私がお話している12月29日のデビュー戦というのは、今日見ていただきましたタッグマッチの中の相手のひとりですね、エストラーダ、これとMSGで闘って勝ったという試合。これはまあ、ハッキリ言えば「モタモタ」した試合だったんですね。それはまあ、当然なんですよね、これ。いかにアマレスのチャンピオンと言えども、こんだけ日が無かったら、練習してる暇も、プロの技を盗む暇も無いんですよ、これ。おわかりでしょ、これ、何辺もいいますけども、12月の12日に向こうに乗り込んで行って、29日にもうデビュー戦をやってるんですからね。ですから、まあ、エストラーダをベアハッグで締め上げてですね、それで反り投げ気味の、まあ、フロントスープレックスで叩きつけて勝ってるんですよね。で、当時、谷津の決め技というか、殺人技というか、見せ場っていうのは、このフロントスープレックス、これとダブルアームのスープレックスと。やっぱり、アマレスの選手ですからね、そういったことの二つをうたい文句にしとったようですね。だからこの試合でも当然、フロントスープレックスで良いところを見せたんでしょうけども、ちょっと切れが悪かった。これはもう、しょうがないですね。

 だから、そういった事で当時、キラー・カーンと言うのがニューヨークに居りました、小沢ですね、これ。小沢が「ニヤッ」と笑って、「これからはやつと一緒にトレーニングもするし、サーキットにも回ることになるだろう。だから、何か教えることがあるかも知れない」と言ってね、「ニヤッ」、「ニタッ」と笑ったというのはね、この試合を見たからですよ。これはもう、しょうがないですね、なんべんも言うけど、これはもうプロとアマとは、そこが違うんですよ、プロとアマとは。アマレスとプロレスとはぜんぜん違うんですね、これ。アマレスとプロレスとはぜんぜん違う。ところが、プロ野球とアマの野球というのは、ぜんぜん違うもんでは無いですよね。だから、アマで活躍した選手がですね、六大学とか、甲子園に出た高校球児とか、こういった選手がプロ野球に入って、1年めに活躍できる選手がおりますね、これ。これはもう、松井もそうだったし、桑田もそうだったし、清原もそうだ。かつての東映におった尾崎なんかもその典型的な例でしょうね。もう、高校から、「ボーン」と入って、あれだけの勝ち星を上げたんですからね、中西なんかでもそうですよ。だから、そういった事が通じるんですよね、これ。

 ところが、アマレスの選手、谷津のようにですね、ヘビー級で連続5回全国制覇したと、そういった凄い選手でも、プロレスの世界に入ってしまうと実力が発揮できないんですよ。ここがね、アマレスとプロレスというのは全然違うもんだと言うね、だから、プロレスという非常に特殊なジャンルであるということ、何辺も申し上げている、そこなんですよね。だから、これをもって「谷津はダメだったんだ」とか、そんなことを言ってはダメなんですよね。これ、当たり前なんですよ、これ。当たり前なんですよね、これ。谷津がね、凄い試合をやって我々を感心させたら、これ、おかしいですよ、ハッキリ言って。そんな甘いもんじゃないですよね、プロレスの世界というのは。ですから、特派員報告とかメモとかを見てみると・・・・(あと5分)

 



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