今回の放送でピックアップされた試合のリストをオレの激闘ベスト5のページに掲載して更新しました。ゲストのトークでは山崎和夫の話は、初代タイガーマスクの付き人をしていただけにリアルで面白く聞けました。
座談会で最後に取り上げられた1983.07.07 大阪府立体育会館の寺西勇戦。一般的には寺西戦と言えば初代タイガーのラストマッチが語られるので、忘れられがちな大阪でのシングルマッチです。私も放送の中で「寺西勇戦」を言うワードが出てきたので、「ラストマッチの話か・・・」と思ってボーッと見ていたら、そうではなくてその前の寺西戦。おそらくリアルタイムの放送で見た以来なので新鮮でした。
金と赤とのツートンカラーマスクはとても格好いいので印象に残っていましたが、どの試合着用されたのか、全く記憶にありませんでした。大阪の寺西戦で偶然かぶることになったことはプロレスファンの間では有名なエピソードのようですが、当時はあまりタイガーマスクのファンでは無かったので、聞いたことがあるような、無いようなって感じでした。
ファンが製作した非公式のマスクなので、試合では着用していないんですね。それなのにそれほどファンではなかった私にも印象に残っているのは、このマスクのデザインが秀逸なんだと言うことでしょう。
小林にマスクを引きちぎられたのを見たファンが、会場で応援するために持ち込んでいた自前のマスクを「タイガー、これをかぶってくれ!」と投げ込んだんですね。タイガーの素顔がさらされないように取り囲んでいた若手がそれを受け取ってタイガーに被らせたということのようです。まるで「ちびっ子ハウス」の健太君のような好プレーです。予備のマスクを着けられたと思ったんでしょう、佐山自身は後のインタビューでもあまり印象に残っていなかったように語っています。よく考えてみれば、自分が被っているのでデザインがわからないのは当然です。
リアルタイムの放送では全く気がつきませんでしたが、投げ込まれるマスクの軌道までしっかりとテレビカメラがとらえていました。
ファンやマスコミに素顔を晒さないことが至上命題である付き人の山崎はあわてて予備のマスクを控え室に取りに行きました。しかし山崎がマスクを持って戻ってきたときにはすでに佐山がマスクを着けていたので、何が何だかわからなかったとのこと。それも山崎の知らないニューデザインのマスク。今回の「オレの激闘5」の放送で一番よかったのは、下の唖然とする山崎のワンカットを確認できたことです。
そもそも小林の乱入は、寺西に加勢した小林にタイガーが怒って強烈な張り手をかましたのが発端です。ビデオを見てみると小林の加勢と言ってもフェンスの外から寺西に檄を入れた程度です。これにいちゃもんをつけるタイガーもタイガーです。
■小林は「リングに戻れ」と寺西の背中を押しただけ
放送画面キャプチャ
それであんな強烈な張り手をくらったら、そりゃあ小林も頭にくるでしょう。試合後に小林が乱入してマスクを破いちゃうのも無理もありません。
■いきなりの張り手をカメラはとらえきれず・・・
放送画面キャプチャ
タイガーの素顔を隠そうと必死でカバーする若手がいて、予備のマスクを取りに行く山崎がいて、なんだかわからないけど投げ込まれたマスクをかぶせられた佐山がいる。きっと彼らも「予備のマスク」だと思って何も疑わずに佐山にかぶせたんでしょう。プロレスは八百長だとか予定調和だとか揶揄されますが、このあたりの全選手の行動は紛れもなくリアルです。40年近く経過してもこんな事実が出てくるところが昭和プロレスの「呪い」ですね。(みなさん、よくご存じのお話かと思いますので、私にとっての「新事実」です)
■赤金のツートンマスク(レプリカ)
「よみがえる初代タイガーマスク伝説」(宝島社 2003年12月18日発売)より
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前田のアキレス腱固めを立ち上がって崩すビッグサカ。 pic.twitter.com/XTL1xMNXmO
— pasin (@pasinpasin) January 10, 2021
安生洋二の言うように、ナチュラルに塗り替えられている記憶もあるような気がします。
昔のデータを調べる際によく使うのが、週刊ゴング増刊「日本プロレス50年史」(2000)。
— 若月(仮) (@wakatsukisensei) January 9, 2021
40年史(1995)、52年史(2003)…と続いたあの頃は、ゴングからの年史出版がずっと続く気がしていました。
今もゴングがあったら、竹内さんがまだお元気だったら、今頃ゴング版70年史も楽しめていたのでしょうか。 pic.twitter.com/oWhWNKsXCb