■「新春黄金シリーズ」の生中継
テレビ朝日「ワールドプロレスリング」放送キャプチャ
1984年1月13日、横浜文化体育館「新春黄金シリーズ」の生中継。この日のアントニオ猪木は入場時から超不機嫌でした。
■既に不機嫌な表情のアントニオ猪木
テレビ朝日「ワールドプロレスリング」放送キャプチャ
原因は入場時の観客のマナーの悪さでした。いつものように猪木と藤波の入場花道にファンが殺到。それだけなら“人気者の入場シーン”が演出できて、テレビ的にもOKなのでしょう。しかしこの日は、アントニオ猪木のガウンを引っ張るファン、挙げ句の果ては闘魂タオルを奪ってしまうファンと、プロレスファンにもとる行為が続出。さすがの猪木も我慢の限界でブチキレました。
■客席の椅子で群がるファンを威嚇
テレビ朝日「ワールドプロレスリング」放送キャプチャ
客席のパイプ椅子を手にファンを威嚇。これは恐怖です。ある意味、タイガー・ジェット・シンやブルーザー・ブロディに睨まれるより怖いと思います。
■やり場の無い怒り
■いつもカッコいい猪木をこんな姿にしてしまったファンを許せません
テレビ朝日「ワールドプロレスリング」放送キャプチャ
真っ赤な闘魂タオルも無く、乱れたガウン姿を見れば、猪木が怒り心頭になった気持ちもわかります。
怒りのやり場の無い猪木は選手のコールもゴングも聞かずに長州に襲いかかりました。これは長州もいい迷惑です。そして選手コールの時に投げ入れられるはずの無数の紙テープは投げ入れられるタイミングを失い、とりあえずこの混乱のリングに投げ入れられたのです。猪木・藤波・長州・浜口の4選手は紙テープにまみれながらの乱闘となりました。
■いい迷惑の長州力、悪いのはマナーの悪いファン
■紙テープまみれのリング
テレビ朝日「ワールドプロレスリング」放送キャプチャ
そして猪木にとって不運だったのは、エプロンで待機中に投げ入れられた紙テープのエッジで右手人差し指を切ってしまったこと。腹は立つし、痛いし、散々です。タッグマッチの控えでエプロンに立っていても絶対にリング上の闘いから目をそらさず、一時(とき)も気を抜かない猪木ですが、このワンカットは非常に珍しい猪木の姿です。
■痛っ!
■リング内の闘いに集中できない猪木
テレビ朝日「ワールドプロレスリング」放送キャプチャ
試合終盤にはバッド・ニュース・アレンがラッシャー木村と共にリングサイドに姿を現し、猪木にいちゃもん。次週の対戦カードのプロモーションの意味もあるでしょうが、超不機嫌な猪木は「もう我慢の限界」とばかりにアレンに突っかかっていきました。
普通ならこんな猪木を目の前にしたらビビること間違いなしですが、アレンは見事な乱闘を演じてみせています。さすがバッド・ニュース・アレンです。実力的には申し分ない選手なので、個人的には、どこかでもう一段階ステップアップするチャンスをつくってあげたかったと感じた選手です。
■いい仕事をしてます、バッド・ニュース・アレン
テレビ朝日「ワールドプロレスリング」放送キャプチャ
そして孤軍奮闘の藤波は長州&浜口の連携にはまり、フォール負けという結果でした。
放送時間を残して試合が終了したときのセオリーとして、リングサイドのレポート担当のアナ(辻よしなり)がリング上でインタビューを行いました。辻アナもビビり気味で、すぐに猪木にマイクを奪い取られてしまいました。
■マイクでも怒り爆発
テレビ朝日「ワールドプロレスリング」放送キャプチャ
「(辻アナのインタビューに応えて)あのバカヤローね、やるんだかやんないんだか、ウロウロしやがってコノヤロー。(マイクを奪って)いいか、コノヤロー、いいか、テメエなコノヤロー、やるんならハッキリ来い、コノヤロー。いつでも勝負してやるぞ、コノヤロー」
「(藤波に向かって)テメエもいってしまえ、長州をいってしまえ!」
■テメエも長州をいってしまえ!!
■ダーッ
テレビ朝日「ワールドプロレスリング」放送キャプチャ
「アントニオ猪木、怒りにまかせて大暴れ」のように見えますが、ビデオを見返すと、途中から冷静に判断して試合を進めているのがわかります。こんな試合もあるから生中継から目が離せない80年代前半の新日本プロレスなのでした。
お口直しに、放送開始前の「政府広報」でもどうぞ。
■政府広報
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— pasin (@pasinpasin) January 19, 2021
帰りの電車で集中して読んでたら一駅乗り過ごしてしまったので責任を取って欲しいw pic.twitter.com/zTrMIi9gSy
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