■1996年発刊「闘魂伝説の完全記録」の広告
1996年の6月、新聞に掲載された広告です。
「プロレスラー・アントニオ猪木 闘魂伝説の完全記録」全10巻。アントニオ猪木ファイナルカウントダウンも終盤に近づき、そろそろアントニオ猪木の集大成の豪華本を出版しようという企画だったのでしょう。最終的に発行されたのは、
■VOL.2 1972-1975
「新日本プロレス旗揚げ~日本人対決」
■VOL.3 1976-1977
「格闘技世界一決定戦①ルスカ、アリからウェップナーまで」
■VOL.4 1978
「ボブ・バックランド戦~タイガー・ジェット・シンとの抗争」
■VOL.5 1978-1980
「ヨーロッパ遠征~ウイリー・ウイリアムス戦」
■VOL.6 1981
「NWFベルトヒストリー/ローランド・ボックとの闘い」
■「闘魂伝説の完全記録」全5巻
発刊されたのはVOL.2~VOL.6という、なんとも中途半端なナンバーとなっています。この企画が途中で頓挫して全号の発刊に至らなかったのはみなさんご存じの通りだと思いますが、未発刊の内容はどんな予定だったのか調べてみました。出典は当時の「予約申し込み書」です。
■予約申し込み書
■第1巻 1960-1971
「デビュー~BI砲全盛期」
大木金太郎とのデビュー戦からBI砲全盛時代まで。
若き闘魂の数々の名試合を完全収録。
■第2巻 1972-1975
「新日本プロレス旗揚げ~日本人大物対決」
待望の新日本プロレス旗揚げ。
S・小林、大木戦~ゴッチ、ロビンソン戦を秒単位掲載。
■第3巻 1976-1977
「格闘技世界一決定戦①ルスカ、アリからウェップナーまで」
アリ、ルスカ、アンドレ、ペールワン、
モンスターマン、ウェップナー。
戦慄の闘いを網羅。
■第4巻 1978-1980
「格闘技世界一決定戦②ランバージャックからウイリーまで」
ウイリー・ウイリアムスとの激闘のすべて。
ランバージャック、デイトンらの強豪との決戦。
■第5巻 1973-1979
「抗争全記録①タイガー・ジェット・シン、バックランド」
最大のライバルのひとり、タイガージェットシン。
上田、バックランド戦。
■第6巻 1977-1982
「抗争全記録②ハンセン、ブロディ、ボック」
超大物外人との抗争記録。
■第7巻 1983-1988
「IWGPと軍団抗争」
ホーガン事件で始まったIWGPの全記録。
前田、長州、国際軍団との抗争戦を徹底分析。
■第8巻 1983-1988
「抗争全記録③UWF~巌流島」
UWFとの抗争記録をあらゆる角度から分析。
マサ斎藤との巌流島決戦の詳細。
藤波戦。
■第9巻 1988-1995
「日ソ・プロレス協定~北朝鮮平和イベント」
チョチョシビリ、最後の坂口とのタッグ。
馳、天龍、フレアー。
後輩たちに見せた最後の闘魂。
■第10巻 1994-1997
「ファイナル・カウントダウン」
本当に猪木は引退してしまうのか。
ファイナルカウントダウン。
秘められた全エピソード。
実際に発行された号は、VOL.4あたりから内容の括りも変更されていますが、予定から変わってしまうのは仕方ないのかもしれません。こうやって発刊予定を眺めてみると、未発刊の号を是非読みたかったなと思います。まあ、いろんな本でさんざん語られているので、それ以上の「新事実」みたいなのは出てこないんでしょうけど、それでもなぜか何度も繰り返し見たり、読んだりしたくなるのが「昭和プロレス」なんですよね。
■3万円相当の豪華特典プレゼント
新聞広告では、「豪華特典を予約者のみプレゼント!!」と書かれています。全10巻38,000円は少々きついですが、どうせ全巻買っちゃうのはわかりきっているし、なんと「猪木自身が選んだ」、「3万円相当の特典」がついてくるので、迷わず予約しました。豪華特典とは・・・
■WWF世界ヘビー級ベルトレプリカ
■オリジナルビデオ、など
後日、豪華特典が届きました。
■NWF世界ヘビー級ベルトレプリカ
WWF世界ヘビー級ベルトと書かれていましたが、どちらかと言えばNWF世界ヘビー級ベルトに近いデザインのレプリカですね。アントニオ猪木と言えば「NWF世界ヘビー級」なので、この間違いは「良し」としましょう。ただ、大きさが小さい!。思っていたより小さい。幅8cm×高さ5cmぐらいでしょうか。それでも普通のジーンズとかのベルトのバックルに付けたらカッコいいかな、なんて思いました。
■オリジナルビデオ
「闘魂伝説の完全記録 発売記念特別限定ビデオ」。もしかしたら、当時幻だった「猪木vsアリ」戦が収録されているのでは?なんて期待しましたが、お宝映像どころかその他の試合映像さえ入っておらず、残念だった記憶があります。今になってみれば、それなりに貴重なビデオではあります。
■A2サイズ大ポスター 2枚
ポスターについては部屋に貼るほど子供でもないし、ということで送られてきた筒に入れて20年間大切に保管していました。そして昨年の引っ越しの時に泣く泣く処分しました。その代わりに高画質でスキャンしてデジタル保存したのが、掲載した画像です。
以上が、3万円相当の豪華特典です。「3万円」はさすがに盛り過ぎの宣伝文句ですが、当時はセルビデオも高価だったので、「1万円」相当の豪華特典と言えなくもないかなと感じました。まあ、宣伝文句が盛られているのは織り込み済みだったので、そんなにショックではありませんでした。それよりも「毎月2巻ずつ」送られてくる本を楽しみに待っていました。
「毎月2巻ずつ」送られてくる本。発売月の1996年9月にはちゃんと届きました。その後、翌月送られてきたのかの記憶は定かではありませんが、2回目も確かに送られてきたので、全部で4冊は受け取ることができていました。そしてしばらく来ないな・・・・と思っていたら、1997年4月にお知らせが送られてきました。
なんと、アントニオ猪木氏から「世界戦略」や「格闘技連合構想」が忙しいので、ちょっと待って欲しいと。「世界戦略」なら仕方ないか、と半ば強引に納得。遅れてはいるものの、お詫びのしるしに単行本「猪木論」も同封されているし、5月には次の2冊が送られてくる、というのはどちらかと言えば「朗報」の部類です。
その5月に入ると、またまた「ケイ・インターナショナル」からお知らせが。ここまでくると、もうほぼ諦め気味です。「世界戦略」だから仕方ないんです。業務引継が発生したから仕方ないんです。
その後6月だったかどうかは定かではありませんが、なんとかVOL.6は送られてきました。そして12月に再度お知らせが。来年(1998年)3月ぐらいには、第7巻が出来上がるらしい。諦めているところにこんなお知らせを受け取ると逆に嬉しい。悪い男にさんざんひどい扱いを受けても、たまに優しくされると嬉しい女性の心境か?。とりあえず期待せずに待ちました。
1998年3月。昨年の暮れのお知らせで、第7巻発刊予定とされた月です。当然のように送られてきません。そして翌月、1998.4.4と言えば「猪木引退」の日。たしか当初、第10巻の内容は以下のような予定だったはずです。
■第10巻 1994-1997
「ファイナル・カウントダウン」
本当に猪木は引退してしまうのか。
ファイナルカウントダウン。
秘められた全エピソード。
ただ、この時は既にアントニオ猪木は引退していたので、第10巻は「猪木引退」に変更だな、などとノーテンキに考えたのでした。まだ半分しか刊行されていないけど。
そして次のお知らせが届いたのは、1988年6月5日(文書の日付は5月ですが)。遅れに遅れているが、まだまだ頑張っているとの決意表明とともに、なんと「INOKI アントニオ猪木引退記念公式写真集」(定価1万円)が送られてきました。この写真集は結構好きな写真がいっぱいでお気に入りの写真集です。一万円はちょっと高いので自分では買いませんけど。予約した「闘魂伝説の完全記録」の発刊が遅れているお詫びとして、単行本や自分ではまず買うことの無い高価な写真集をいただけるのは、もしかしたらお得なのかもしれないとも思ってしまいます。それもこれも、最後まで送られてくることが前提なのですが。それを素直に待ち続けている自分は、どんだけお人好しなんだと思います。
一方ではもうこの頃になると、まったく期待はしていませんでした。ただ音信不通になってバックれることをしない「ケイ・インターナショナル」に感心もしていました。でも、「あと4巻」じゃなくて、「あと5巻」だろうとツッコみたくもなりました。
■INOKI アントニオ猪木引退記念公式写真集
これだけ色々と「お知らせ」などの資料が保存してあるのに、最終結末の資料が見当たりません。記憶をたどると、最終的には1998年の秋頃だったと思いますが、遂に発刊断念のお知らせを受け取ったはずです。先払いした予約金も返金されました。たぶん郵便の定額小為替か何かだったと思います。返金は本来なら全10巻予定のうち5巻しか受け取っていないので、38,000円の半分の19,000円となるべきです。ところが、返却されたのは、7,600円。あれれ??。しっかりと「INOKI アントニオ猪木引退記念公式写真集」(定価1万円)と「猪木論」(定価1,400円)の代金が差し引かれていました。それでも、最後まで対応したスタッフのみなさん、普通なら逃げだしてしまってもおかしくない状況なのに、その誠実さには逆に驚きと感謝がありました。
以上、「闘魂伝説の完全記録」の顛末記でした。
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— 昭和プロレスpasin (@Zq7H0cfDKCjUn8E) February 18, 2024
2001年にこの本が出版
— カオル🌠 (@WCYhUplPBw48283) February 18, 2024
され、
プロレスファンに
とっての『踏み絵』の
ような存在に。
内容は各自調査なんで
すが、プロレスから
離れた人も結構いる。
個人的には別にどーって
ことはなかったな。
『高橋も食うためにやっ
てんだ。
ほっといてやれ。』
このアントンのコメント
が全て。 pic.twitter.com/j8oJUCjrvn