32歳のアントニオ猪木と、59歳のルー・テーズ。試合のテーマはバックドロップでした。当時、全盛期の猪木は「必ずテーズをバックドロップで投げる」と豪語。一方、現役の終盤を迎えている59歳のテーズは「もしバックドロップを受けてしまうようなら自分の負け」と自身の心の中のテーマとしていました。昭和50年の名勝負「猪木vs.テーズ」をI編集長が語ります。
■闘いのワンダーランド #017 (1996.12.24放送)
「I編集長の喫茶店トーク」
1975.10.09 蔵前国技館
アントニオ猪木 vs. ルー ・テーズ
1975.12.07 ニューヨークMSG
アントニオ猪木 vs. フランク・モンティ
■アントニオ猪木 vs. ルー ・テーズ
アントニオ猪木名勝負38年史「闘魂大全集」より
(I編集長) この試合はルー・テーズが60歳を超えた試合ですからね、失礼、59歳ですか? それでも、2年前、昭和48年に行われたあの「世界最強タッグ」からでも、あの頃から比べますと、1~2年とは言えテーズの衰えが目立つんですよ、あの時(世界最強タッグ決定戦の時)はまだしっかりしてたんですけどね。
(I編集長) ところがやっぱり、60歳近くになると、人間ってのは急に衰えるんですね。頭の髪の毛なんかも非常に薄くなったし、足の張りも無くなってくるしね。そういった年齢であったんだけれども、さすがルー・テーズですよ。やっぱり見ていたらね、そういった歳のことなんてのは吹っ飛ぶ試合をしましたよ。
■試合のテーマはバックドロップ
日本プロレス激闘60年史より
(中略)
(I編集長) それで試合後のテーズに話を聞いてみると「私はチャンピオン・ルー・テーズとして世界中で試合をしてきた。私がバックドロップを仕掛けることがあっても、相手にバックドロップをやられたのでは話にならない。だからこれまではバックドロップを仕掛けられても全てシャットアウトしてきた。確かに今日、私は猪木に負けたが、フォールされたから負けたんじゃ無い。その前に猪木に瞬間的にバックドロップを仕掛けられた。それを決められた時に“ああ、負けたな”と思った。体中から“ガクガクッ”と力が抜けていった。だから今日の試合はフォールで負けたんじゃ無い。私の心の中では、猪木にバックドロップをやられた瞬間に負けが決まったんだ」と語りましたね。
■「夜の夜中までかかって書いた」(I編集長)
(I編集長) テーズから「バックドロップで投げられた時点で負けだった」と思いもかけない話が出てきたんですよね。猪木と全く同じ事を考えて試合に臨んでいたんですよ。だから僕は「これだ!」と思いましたね。「これでファイトノンフィクション劇場ができた!」ということで、なんか「ワクワク」しながら夜中までかかって記事を書いた記憶がありますよ。そういった意味で「ノンフィクション劇場」というのは、スクラップしてファイルしておられる方が沢山いらっしゃるんですけどね。それはやっぱり、こちらも必死になって取材し、夜の夜中までかかって書いたものなんですよ。
■アントニオ猪木 vs. フランク・モンティ
DVDブック 燃えろ!新日本プロレス vol.50より
(I編集長) 番組で並べて放送された「猪木vs.モンティ」は、あんまり振り返られることのない試合だから、そういう意味では目新しいですけどね。ルー・テーズと猪木のカードがあれだけ大きな試合ですからね、やっぱり番組の中ではテーズ戦の方に集中してしまいますよね。これはもうしょうが無いですよ。そのあとに流れたのがフランク・モンティとの試合でしょ。フランク・モンティというのは見ていただければわかりますけどね、ハッキリ言って二流レスラーですよ、あれは。どうしても、あれ、クチの悪い連中は「三流 もエエとこだ」と言ってましたけどね。猪木のドロップキック一発で吹っ飛ぶようなレスラーですからね、ただまあ、マジソン・スクエア・ガーデンで行われたということだけは、この試合の取り柄ですね。
■マジソン・スクエア・ガーデン
週刊ファイトより
今回も喫茶店トークの一部のみの紹介でした。全部でA4で15ページぐらいの記事になっています。web版週刊ファイトでは、I編集長のトーク全文を掲載しています。「ファイトクラブ公開中」のサイトにもアップされていますので、ご覧いただけます。会員登録すると「ファイトクラブ公開中」のページで記事を全部読めますよ。毎回言いますが、私は儲かりませんけど。
最近、「週刊ファイト – 武道・プロレス・格闘技の”見る本”電子書籍」というサイトに、当サイトの「I編集長の喫茶店トーク」のコーナーをリメイクした記事を掲載してもらっています。
これまでは、当サイトの「I編集長の喫茶店トーク」のページでは、井上節をとことん忠実に再現した書き起こしで掲載していました。ひたすら文字だけの完全にマニア向けのページで、読むのも一苦労なのは承知の上で、個人的な趣味・記録という意味で掲載していたものです。
これをメジャーなサイトに掲載して広く読んでいただくために、関連の写真などを随所に入れ込んで、見やすく面白い記事にリメイクしてみました。Y・I節も文字だけではわかりにくいところは積極的に補足しています。よろしければ電子版「週刊ファイト」のページをご覧ください。
■[ファイトクラブ] 60歳を過ぎても失わない世界チャンピオンの矜持
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前列、右の端に中野選手がいる。みんな若い。青春だよ。 pic.twitter.com/pVKVFnKyja
— ターザン山本! (@tarzany) October 9, 2021
47年前の今日、猪木×大木金太郎のNWF戦。
— pasin (@pasinpasin) October 9, 2021
今見ても全く古びない究極の喧嘩試合。試合時間は13分と短いが名場面だらけで猪木の名勝負の中でもロビンソン戦と並ぶベストオブベストだと思う。私、10代の頃はプロレス否定派にはこの試合を見せて黙らせてましたw pic.twitter.com/BIewsHvVd5