■IRON CLAW
Power Wrestling誌より
映画「アイアンクロー」を観ました。
エリック一家に起こった悲劇については、プロレスファンなので、情報としては知っていましたが、映画では登場人物一人一人の繊細な心の動きが表現されており、感情移入をして観てしまいました。次々と襲いかかる不幸、六男のクリスの悲劇が描かれていないのは、映画の中で悲劇は十分すぎる、これ以上悲劇を語ってもしょうが無いという判断でしょうか。クリスの自殺まで知っているプロレスファンなら、エリック家の不幸はまだまだある、と思ったことでしょう。
■映画の中のエリック家
■実際のエリック家
Power Wrestling誌より
プロレスシーンは迫力満点で、特にケビン・フォン・エリック役ザック・エフロンの体の仕上がりは完璧でした。もう、どこから見てもプロレスラーでした。プロレスがショーであることは、早い段階でサラッと表現されていますが、全体的には、プロレスラーが如何に真剣にリング上の闘いに取り組んでいるのかを伝える構成になっており、プロレスファンとしても好感が持てました。
エリック家の大河ドラマを2時間の映画にまとめようとすると、どの要素を削ぎ落とすかが難しいですが、クリスの話を出さなかったのもその一つかも知れません。ただ、見ていて気になったのは、もう少し時間経過を丁寧に描いて欲しいと言うことでした。たとえば、ケリーがNWAタイトルを獲った日にバイク事故を起こしたようにも思える構成でしたし、兄弟の死亡や試合の日時の順序が正しくない部分もありました。史実に沿ったドラマですから、そのあたりの時系列は大切にして欲しいと感じました。ただ、そう感じるのは、実際の出来事をリアルタイムで知っているプロレスファンだけでしょうけど。
■主演ケビン役、ザック・エフロン
Power Wrestling誌より
私はエリック兄弟では、ケリー・フォン・エリック推しでしたが、映画では身長がちょっと足りないのが残念。ハーリー・レイス、リック・フレアー、ブルーザー・ブロディもそれなりに寄せてありました。本物を知っているプロレスファンには若干の違和感がありますが、そこは脳内で変換しながら見るといいでしょう。
もう少しAIが手軽に使えるようになれば、本物の写真や動画から生成して、まるで本人のままのレスラーに修正したAIリマスター版ができるかも知れません。
バックに流れる音楽、「Blue Oyster Cult」の「(Don't Fear) the Reaper」も、ジャケットのイメージが、エリック家の悲劇を連想させます。
■Blue Oyster Cultのアルバム
Amazonより
映画の中でフリッツ・フォン・エリックのプロモーションWCCW(World Class Championship Wrestling)はマイナーで赤字続きのように描かれていました。私の認識では、「プロレス・スーパースター列伝」で描かれていたように、エリックは「大富豪」だと擦り込まれていました。
列伝に書かれている「ダラスに遠征したレスラーは、エリックのホテルに宿泊し、エリックの銀行から小切手が発行される」。今日までこのコメントを100%信用してました。
■エリックは大富豪
コミック:プロレススーパースター列伝より
実際は映画の方に近かったのかも知れません。しかし、少なくとも日本で「世界のプロレス」が放送されていた頃のWCCWは人気があったはずです。エリックの銀行というのは、少々大げさ過ぎる気もしますが、本当のところはどうだったんでしょうか。
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顔は全然違うのに、皆が皆あんなに似てるのは、「魂」を似せてるからだろうな、きっと。
— コブラ@「昭和プロレステーマ曲大事典」大好評発売中! (@kokontezangetsu) April 20, 2024
「アイアンクロー」素晴らしい映画でした。 pic.twitter.com/AYQcDw9soz
『アイアンクロー』
— トモヤミ@映画好き夫婦 (@yauyu_tomoyami) April 14, 2024
実話ベースの作品で話を盛るんじゃなくて、事実が残酷すぎて悲劇を現実よりかなりマイルドに端折ってるのフォン・エリック・ファミリーのヤバさが分かる。 pic.twitter.com/uKsmqbJVr1